目錄
日本語学習がある程度進むと、日本のニュースを見たり、学校や会社の報告書を読んだりするときに、「による」という表現を何度も目にするようになります。中国語では、ごく普通に「〜によって生じた」「〜が原因で起きた」と訳せるので、意味そのものはそれほど難しくありません。ただ、実際に自分で文を書いたり、文法の選択問題を解いたりすると、接続する位置で迷う人が少なくありません。同じように原因や手段を表していても、後ろに名詞が来る場合は「による」を使い、後ろに動詞や文の続きが来る場合は「によって」または「により」に変える必要があります。
日本語「による」にはどんな使い方がある?基本機能を整理
「による」の中心的な機能は連体修飾です。つまり、名詞の直前に置いて、後ろの名詞が「何によって生じたのか」「何が原因で起きたのか」を説明します。この用法はニュースの見出し、報告書のタイトル、学術文章などで非常によく使われ、「台風による被害状況」「AIによる自動翻訳」などがその例です。この点がわかると、同じ「によって」の仲間の中でも、なぜ「による」の位置がこれほど固定されているのかが理解しやすくなります。「による」はほぼ名詞の直前にしか現れず、「によって」のように後ろに読点や文が続く形では使われません。
接続ルール
「による」の接続はとてもシンプルです。名詞に「による」を付け、そのまま別の名詞につなげることで、「Aによって生じたB」という修飾構造を作ります。この連体修飾の位置こそが、「による」と「によって」を分ける最も大きなポイントです。
| 接続する語 | 接続方法 | 例 |
| 名詞(原因/方法) | 名詞+による+名詞 | 地震による被害 |
| 名詞(動作主体) | 名詞+による+動作性のある名詞 | 専門家による分析 |
「による」の使い方①|原因や方法を表す名詞修飾
この用法では、「原因や方法」を「による」の前に置き、後ろの名詞を修飾します。その結果や現象が何によって引き起こされたのかを示す形で、ニュースの見出しや報告書のタイトルなど、書き言葉を中心としたフォーマルな場面でよく使われます。
- 例文:地震による被害は甚大だった。
意味:地震によって生じた被害は非常に大きかった。
この文では「地震」を原因として、後ろの「被害」を修飾し、その被害が何によって生じたものなのかを示しています。ニュース報道でよく見られる典型的な見出し型の構造です。 - 例文:彼の成功は、長年の努力による結果だ。
意味:彼の成功は、長年の努力を積み重ねた結果だ。
この文では「努力」を方法や根拠として「結果」を修飾し、成功が偶然ではなく、明確な背景を持つ成果であることを強調しています。 - 例文:インターネットによる情報収集が一般的になった。
意味:インターネットを使った情報収集が一般的になった。
この文では「インターネット」を方法や手段として「情報収集」を修飾し、情報を集める行為がどのような手段で行われるのかを示しています。このように「手段」を表す働きは、格助詞「より」が書き言葉で持つ位置づけとも共通する部分があります。
「による」の使い方②|動作主体を表す名詞修飾
この用法では、「動作を行う人や組織」を「による」の前に置き、後ろにある動作性を持つ名詞を修飾します。「この行為を誰が行ったのか」を示す働きがあり、正式なイベントの案内や報告書などでよく使われます。
- 例文:校長先生による特別講義が行われた。
意味:校長先生が講師を務める特別講義が行われた。
この文では「校長先生」を動作主体として「特別講義」を修飾し、その講義を誰が担当したのかを示しています。 - 例文:AIによる自動翻訳の精度が年々向上している。
意味:AIによる自動翻訳の精度が年々向上している。
この文では「AI」を翻訳という動作を行う主体として「自動翻訳」を修飾し、その技術を実行する主体を強調しています。 - 例文:専門家による分析では、来年の景気は回復するとされている。
意味:専門家の分析によると、来年の景気は回復すると考えられている。
この文では「専門家」を動作主体として「分析」を修飾し、その分析結果が誰によるものなのかを示すことで、内容により高い権威性を持たせています。
日本語「による」と「によって」「により」の違いは?
この三つは意味がほぼ同じで、いずれも「〜が原因で」「〜によって」と訳すことができます。ただし、接続する位置はまったく異なります。一つは名詞を修飾する形で使い、残りの二つは文中で動詞や後続の文につなげる形で使います。この境界が、初学者が最も間違えやすいポイントです。
| 比較項目 | による | によって | により |
| 接続位置 | 名詞+による+名詞(連体修飾) | 名詞+によって、後ろに文や動詞が続く | 名詞+により、後ろに文が続く(より書き言葉的) |
| よく使われる場面 | ニュースの見出し、報告書のタイトル、見出し型表現 | 一般的な叙述文、受動文 | 正式文書、告知、法律文 |
| よくある間違い | ❌ 文中で動詞につなげる | ❌ 名詞を修飾する位置で使う | ❌ 日常会話で使う |
| 正しい例 | ✅ 地震による被害 | ✅ 地震によって、多くの建物が壊れた | ✅ 台風により、電車が運休した |
▌「による」と「によって」の核心的な違い
❌ 誤用:地震による、多くの建物が壊れた。(ここでは「による」の後ろにそのまま読点と文が続いていますが、「による」は直後の名詞を修飾する働きを持つため、「によって」のように後ろに完全な文を続けることはできません。この位置では誤用になります)
✅ 正しい形:地震によって、多くの建物が壊れた。(「によって」は文中で使われ、後ろに完全な文が続きます。機能として「による」と補い合う関係にあり、混同して使うことはできません)
「による」は名詞の直前に置き、「AによるB」という修飾構造を作ります。一方、「によって」は文の途中に置かれ、後ろに動詞や形容詞を含む完全な叙述が続きます。この「原因+結果」という論理関係はから/のでを使った原因表現とも少し似ていますが、意味が近くても文法上の位置はまったく異なります。書くときに最も混乱しやすいのが、この境界です。
▌「による」と「により」の違い
❌ 考えすぎ: 「により」と「による」は、名詞を修飾する位置でもそのまま入れ替えられると思ってしまう。
✅ 正しい理解:「により」は「によって」と同じ機能を持ち、どちらも文中で動詞や完全な叙述につなげるときに使います。ただし、「により」のほうが書き言葉としての性格が強く、正式な告知や法律文などでよく見られます。たとえば「台風により、電車が運休した」のように使います。名詞を修飾する場合は、引き続き「による」を使う必要があり、「台風による運休」のようになります。
三つのうち、名詞を直接修飾できる形は「による」だけです。「によって」と「により」は文をつなぐ役割を持ち、その中でも「により」は「によって」よりフォーマルで、書き言葉的な表現です。
日本語のニュースや報告書に出てくる「による」|書き言葉の定型表現
日本のニュース見出し、学術論文のタイトル、企業の報告書名では、「による」という簡潔な名詞修飾構造がよく使われます。「原因」や「実行者」をそのままタイトルに組み込み、読者が情報の出どころをひと目で把握できるようにするためです。完全な文を書くよりも簡潔で力強く、日本語の書き言葉が重視する簡潔さと高い情報密度を表す書き方でもあります。
▌場面①|編集部でニュースの見出しを相談する
A:この記事のタイトル、「台風による交通機関の乱れ」でどうかな。
このきじのタイトル、「たいふうによるこうつうきかんのみだれ」でどうかな。
この記事のタイトル、「台風による交通機関の乱れ」でどうかな。
B:いいと思います。原因がすぐわかりますね。
いいとおもいます。げんいんがすぐわかりますね。
いいと思います。ひと目で原因がわかりますね。
📌 文法ポイント:「台風による交通機関の乱れ」では、「による」を使って「台風」という原因をそのまま見出しに組み込み、「交通機関の乱れ」を修飾しています。完全な文で「台風によって交通機関が乱れた」と書くより簡潔なので、ひと目で要点をつかむ必要があるニュース見出しに適した形です。
▌場面②|学生がレポートのタイトルを相談する
A:卒業論文のタイトルは「AIによる医療診断の可能性」にしようと思うんだ。
そつぎょうろんぶんのタイトルは、「AIによるいりょうしんだんのかのうせい」にしようとおもうんだ。
卒業論文のタイトルは「AIによる医療診断の可能性」にしようと思っているんだ。
B:いいタイトルだね。何が主体なのかはっきりしてる。
いいタイトルだね。なにがしゅたいなのかはっきりしてる。
いいタイトルだね。何が主体なのかがはっきりしている。
📌 文法ポイント:「AIによる医療診断」では、「による」を使って「AI」という動作主体をタイトルの中に組み込み、「医療診断」を修飾しています。読者は、この論文が「AIが行う医療診断」について扱っていることをすぐに理解できます。このような見出し型の名詞修飾構造は、学術論文のタイトルで非常によく使われます。
文化知識の補足:
- 日本の公的統計報告や気象関連の告知では、「〜による被害」「〜による影響」のような定型表現がよく使われます。読者が見出しから災害や出来事の原因をすぐに把握できるようにするもので、情報効率を重視する書き言葉文化の一つの表れです。
- 「による」がニュース見出しで多用されるのは、日本語の見出しでは完全な文よりも簡潔な名詞句が好まれるためです。この点は、完全な動詞文を使うことの多い中国語のニュース見出しとは、はっきりした違いがあります。
- 学術論文のタイトルでは、「によって」よりも「による」が一般的に好まれます。論文タイトルそのものが名詞句の形を取るためで、これによって「による」は学術文章でも非常に認識しやすい定型表現になっています。
日本語「による」と韓国語「에 의한」はどう対応する?
韓国語の「에 의한」は「에 의해」の名詞修飾形で、同じように後ろの名詞を直接修飾します。機能は「による」とほぼ完全に対応しており、「連体修飾 vs 文中での接続」という区別の考え方まで非常によく似ています。
- 例文:담배에 의한 사망자가 매년 증가하고 있다.
ローマ字:dam-bae-e ui-han sa-mang-ja-ga mae-nyeon jeung-ga-ha-go it-da.
日本語:喫煙による死亡者数が毎年増加している。
この文の構造は、「による」で名詞を修飾する用法とほぼ同じです。「담배(タバコ)」を原因として、後ろの「사망자(死亡者)」を修飾しています。 - 例文:오해에 의한 싸움이 자주 발생한다.
ローマ字:o-hae-e ui-han ssa-um-i ja-ju bal-saeng-han-da.
日本語:誤解が原因の争いがよく起こる。
この「原因+에 의한+名詞」という構造は、日本語の「による」による名詞修飾の考え方と完全に対応しています。どちらも原因をそのまま名詞句の中に組み込む形です。
◆ 「による」との核心的な違い:
韓国語も日本語と同じように、文中で動詞につなげる場合は「에 의한」ではなく「에 의해」を使います。たとえば「오해에 의해 싸움이 발생했다」のようになります。この「名詞を修飾するときは連体形、文につなげるときは別の形を使う」というルールは、「による/によって」の区別とほぼそのまま対応しており、この文法項目では二つの言語に非常に高い構造的な類似性が見られます。
「による」がわかるようになると、この文法で本当に迷いやすいのは中国語での意味ではなく、文の中で置ける位置だと気づきます。「後ろには必ず名詞が直接続く」という原則を押さえておけば、「によって」や「により」が出てきても混乱しにくくなります。
よくある質問 FAQs
「による」は「〜によって生じた」「〜が原因で起きた」という意味を表し、後ろの名詞を直接修飾します。その結果や現象の原因、方法、動作主体が何であるのかを示す表現で、ニュースの見出しや正式文書でよく使われます。
意味は同じですが、接続する位置が異なります。「による」は名詞の直前にしか置けず、修飾構造を作ります。一方、「によって」は文の途中に置かれ、後ろに動詞や完全な叙述文が続きます。両者を入れ替えて使うことはできません。
「により」は「によって」と同じ機能を持ち、どちらも文中で動詞につなげるために使われます。ただし、「により」のほうがより書き言葉的でフォーマルです。名詞を修飾する場合は、引き続き「による」しか使えません。三つの中で名詞の直前に直接置ける唯一の形です。
最もよくある間違いは、文の途中で完全な叙述につなげてしまうことです。たとえば「地震による、多くの建物が壊れた」はこの誤用に当たります。この場合は「によって」を使う必要があり、「による」は名詞の直前に置いて修飾構造を作る場合にだけ適しています。
ニュースの見出し以外にも、学術論文のタイトル、企業の報告書名、公的統計の告知などでよく使われます。原因や動作主体を簡潔に名詞句へ組み込む必要がある場面では、この表現が適しています。