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日本語の程度副詞「とても・あまり・全然」は、最初は比較的覚えやすい表現です。「とても」は「非常に・とても」、「あまり〜ない」は「それほど〜ない」、「全然〜ない」は「まったく〜ない」という意味です。
ところが、実際に日本語を聞いたりドラマを見たりするようになると、教科書で覚えたルールだけでは説明しにくい文に出会います。例えば「全然大丈夫」は否定形がないのに日常会話で非常によく使われますし、「とても信じられない」も単純に「非常に信じられない」と考えるだけでは、本来のニュアンスをうまく捉えられません。
こうした一見例外に見える表現も、文全体の程度と肯定・否定の関係を見ると整理できます。同じ店の評価でも、「とても」「あまり」「全然」のどれを使うかによって、話し手の評価の強さは大きく変わります。3つを別々に日本語訳や中国語訳で暗記するより、同じ尺度の上に並べて比較したほうが違いをつかみやすくなります。
日本語の程度副詞「とても・あまり・全然」とは?基本的な意味と違い
「とても」は、ある性質や状態の程度が高いことを表し、「非常に」「とても」という意味になります。それ自体にプラス・マイナスの評価はありません。そのため、「とても便利です」のように良い評価にも、「とても高いです」のように値段が高いという不満にも使えます。
「あまり」は、初級日本語では「あまり〜ない」の形で覚えることが多く、程度や頻度がそれほど高くないことを表します。「あまり高くない」「あまり食べない」などが代表例です。「全然〜ない」と比べると否定の程度は弱く、「まったく〜ない」と言い切らずに少し余地を残します。
「全然」は、最も基本的で安定している用法では「全然〜ない」の形を取り、「まったく〜ない」「少しも〜ない」という強い否定を表します。一方、現代の日常会話では「全然大丈夫」「全然いい」といった肯定表現もよく使われます。この場合は、単純に程度を高めて「非常に大丈夫」という意味になるのではなく、「問題があると思っていたかもしれないが、実際にはまったく問題ない」という反対の予想を打ち消すニュアンスがよく含まれます。
- 例文:この映画はとても面白かったです。
読み方:このえいがはとてもおもしろかったです。
意味:この映画はとても面白かったです。
「とても」によって「面白い」の程度を高めています。最も基本的な高程度の表現です。 - 例文:この部屋はあまり広くありません。
読み方:このへやはあまりひろくありません。
意味:この部屋はあまり広くありません。
「あまり+否定」によって、広さの程度がそれほど高くないことを表します。「狭いです」と断定するよりも柔らかい表現です。 - 例文:今日は全然寒くないです。
読み方:きょうはぜんぜんさむくないです。
意味:今日は全然寒くありません。
「全然+否定」によって、寒さの程度がほとんどゼロであることを表しています。
日本語「とても・あまり・全然」の使い方|肯定・否定とよく使う形
「とても・あまり・全然」はすべて副詞なので、動詞のように形を変える必要はありません。基本的には、修飾したい形容詞、動詞、状態表現の前に置きます。
重要なのは、それぞれがどのような肯定・否定表現と組み合わされやすいかです。「あまり」と「全然」は、初級文法では否定表現とセットになることが多く、「とても」は肯定文で高い程度を表すのが基本です。ただし、「とても〜ない」のように強い不可能を表す特別な使い方もあります。
| 副詞 | よく使う形 | 基本的な意味 | 例 |
|---|---|---|---|
| 「とても」 | 形容詞・状態表現など | とても、非常に | とても便利です |
| 「あまり」 | 主に否定表現 | あまり〜ない、それほど〜ない | あまり便利ではありません |
| 「全然」 | 否定表現 | まったく〜ない、少しも〜ない | 全然分かりません |
| 「全然」 | 現代口語の一部の肯定表現 | まったく問題ない、十分可能 | 全然大丈夫です |
| 「とても〜ない」 | 可能形の否定・不可能表現 | とても〜できない、到底〜できない | とても信じられない |
| 「あまりに」 | 形容詞・動詞など | あまりにも、過度に | あまりに高い |
「あまり〜ない」と「あまりに〜」の違い|低い程度と「過度に」の違い
初級でよく学ぶ「あまり」は、否定表現と一緒に使われ、「それほど〜ない」という意味になります。例えば「あまり食べません」「あまり高くない」などです。
一方、「あまりに」は「あまりにも」「過度に」という意味になり、後ろに肯定表現を続けることができます。
- 例文:この店はあまり高くありません。
読み方:このみせはあまりたかくありません。
意味:この店はあまり高くありません。
「あまり+否定」によって、値段がそれほど高くないことを表します。 - 例文:この店はあまりに高いです。
読み方:このみせはあまりにたかいです。
意味:この店はあまりにも高いです。
「に」が付くだけで、「あまり高くない」から「高すぎる」という反対方向の意味になります。
「とても〜ない」とは?「とても」なのに「とてもできない」という意味になる理由
「とても」は通常、「とても難しい」「とても忙しい」のように高い程度を表します。しかし、可能形の否定や実現不可能な内容と組み合わさると、「どうしてもできない」「到底できない」という強い不可能を表すことがあります。
この場合、「とても信じられない」を単純に「非常に信じられない」と分解して考えるより、「到底信じることができない」と理解するほうが自然です。
- 例文:そんな話はとても信じられません。
読み方:そんなはなしはとてもしんじられません。
意味:そんな話は到底信じられません。
「とても+可能否定」によって、信じることがほぼ不可能だという強い判断を表しています。 - 例文:一人ではとても運べません。
読み方:ひとりではとてもはこべません。
意味:一人では到底運べません。
単に「少し運びにくい」のではなく、一人の力ではほとんど実現できないことを表しています。
日本語「とても・あまり・全然」の3つの基本用法|高い程度・控えめな否定・完全否定
3つの程度副詞は、基本的には「程度が高い・それほど高くない・ほぼゼロ」という違いで整理できます。ただし、実際の会話では評価や前後の文脈も関係します。
「とても」は必ずしも褒め言葉ではなく、「あまり」は単純な文法上の否定以上に表現を柔らかくする働きがあります。また、「全然」は肯定形と一緒に使われる場合、単純な高程度表現とは違う意味になることがあります。
「とても」の使い方①|性質・状態の程度が高いことを表す
「とても」は、日本語で最も安定して使える高程度の副詞の一つです。日常会話だけでなく、店の紹介、旅行の感想、仕事の説明、丁寧な会話など、幅広い場面で使えます。
「とても」がしているのは、後ろの語の程度を高くすることだけです。プラスかマイナスかは、後ろに来る表現によって決まります。
「とてもおいしい」は高い肯定評価、「とても難しい」は難易度が高いという説明、「とても高い」は価格が非常に高いという意味になります。
- 例文:駅から近くて、とても便利です。
読み方:えきからちかくて、とてもべんりです。
意味:駅から近くて、とても便利です。
「とても」が「便利」の程度を高めています。ホテルや店の紹介などでもよく使われます。 - 例文:先生の説明はとても分かりやすかったです。
読み方:せんせいのせつめいはとてもわかりやすかったです。
意味:先生の説明はとても分かりやすかったです。
「とても」が「分かりやすい」という評価を強めています。 - 例文:このホテルは便利ですが、料金がとても高いです。
読み方:このホテルはべんりですが、りょうきんがとてもたかいです。
意味:このホテルは便利ですが、料金がとても高いです。
「とても」は「高い」のようなマイナス評価にも使えるため、「とても=褒める表現」と覚えることはできません。
「あまり」の使い方②|否定と組み合わせ、程度や頻度が高くないことを表す
「あまり〜ない」は、ある性質、数量、頻度などがそれほど高くないことを表します。「全然〜ない」のようにゼロに近いところまで否定するのではなく、「少しはあるが、それほどではない」という余地を残します。
この控えめな否定は、評価を柔らかくするときにも便利です。「あまり好きではありません」は「嫌いです」より直接的ではなく、「あまりおいしくなかったです」も「まずかったです」より柔らかい表現です。
- 例文:辛い料理はあまり得意ではありません。
読み方:からいりょうりはあまりとくいではありません。
意味:辛い料理はあまり得意ではありません。
「あまり〜ない」によって、「まったく食べられない」とまでは言わず、程度を低く表しています。 - 例文:今日はあまり時間がありません。
読み方:きょうはあまりじかんがありません。
意味:今日はあまり時間がありません。
まったく時間がないわけではありませんが、十分な時間はないという意味です。 - 例文:最近はあまりテレビを見ません。
読み方:さいきんはあまりテレビをみません。
意味:最近はあまりテレビを見ません。
「あまり」は行為の頻度を下げることもでき、まったくテレビを見ないという意味ではありません。
「全然」の使い方③|否定なら「まったく〜ない」、肯定なら予想や心配を打ち消す
「全然〜ない」は最も基本的な形で、ある程度、能力、頻度、状態などがほとんど存在しないことを表します。「あまり〜ない」と比べると、否定の強さは明らかに強くなります。
一方、現代口語では「全然大丈夫」「全然いい」「全然平気」のような肯定表現もよく使われます。この場合は、単に「大丈夫」の程度を高くしているというより、「問題があるかもしれない」という相手の心配や前提を打ち消していると考えると理解しやすくなります。
- 例文:その話は全然知りませんでした。
読み方:そのはなしはぜんぜんしりませんでした。
意味:その話はまったく知りませんでした。
「全然+否定」によって、情報をほとんど持っていなかったことを表しています。「あまり知りませんでした」より強い否定です。 - 例文:昨日は全然眠れませんでした。
読み方:きのうはぜんぜんねむれませんでした。
意味:昨日はまったく眠れませんでした。
ほとんど眠れなかったことを強く表しています。 - 例文:遅くなっても全然大丈夫ですよ。
読み方:おそくなってもぜんぜんだいじょうぶですよ。
意味:遅くなってもまったく問題ありません。
「遅くなると迷惑かもしれない」という相手の心配を打ち消しているため、「全然」が自然に使われています。
日本語「とても・あまり・全然」の違い|程度の強さと肯定・否定で整理
最も基本的な見分け方は、程度がどの位置にあるかを見ることです。「とても」は程度を高くし、「あまり〜ない」は程度が高くないことを表し、「全然〜ない」はその程度をほぼゼロまで下げます。
「全然+肯定」が出てきた場合は、もう一つ前後の文脈を見る必要があります。「無理かもしれない」「問題があるかもしれない」「よくないかもしれない」といった予想が前提にあり、それを打ち消していないかを確認します。
| 比較項目 | 「とても」 | 「あまり〜ない」 | 「全然〜ない」 |
|---|---|---|---|
| 基本的な程度 | 高い | 高くない | ほぼゼロ |
| 典型的な肯定・否定 | 肯定が多い | 否定 | 否定 |
| 基本的な意味 | とても、非常に | あまり〜ない、それほど〜ない | まったく〜ない、少しも〜ない |
| 程度の余地 | 少ない | 比較的ある | 少ない |
| よく使う目的 | 程度を明確に高める | 評価・頻度を控えめに下げる | 強く否定する |
| 使用範囲 | 会話・文章ともに広い | 会話・文章ともに広い | 否定用法は会話・文章ともに広い |
「あまり〜ない」と「全然〜ない」の違い|「あまり分からない」と「全然分からない」
「あまり」と「全然」はどちらも否定表現とよく使われますが、否定の強さが違います。
「日本語があまり分かりません」なら、部分的には理解できるものの全体として理解度が高くないという意味です。
「日本語が全然分かりません」では、理解できる程度がほぼゼロであることを表します。
- 例文:この説明はあまり分かりません。
読み方:このせつめいはあまりわかりません。
意味:この説明はあまり分かりません。
一部は理解できても、全体として十分には理解できていない状態です。 - 例文:この説明は全然分かりません。
読み方:このせつめいはぜんぜんわかりません。
意味:この説明はまったく分かりません。
理解度がほぼゼロで、「あまり」より強い否定です。
「とても」と「全然+肯定」の違い|普通の高程度と「まったく問題ない」
「とてもいい」と「全然いい」は、文脈によってはどちらも肯定的な評価になりますが、意味は同じではありません。
「とてもいい」は単純に「いい」の程度が高いことを表します。
一方、「全然いい」は、「これで本当に大丈夫なのか」「この選択でも問題ないか」といった否定的な予想に対して、「まったく問題ない」と答える場面でよく使われます。
A:この席でもいいですか。
この席でもいいですか。
B:はい、とてもいい席です。
はい、とてもいい席です。
ここでは席そのものの質を高く評価しています。
A:この席でも大丈夫ですか。
この席でも大丈夫ですか。
B:全然大丈夫ですよ。
全然大丈夫ですよ。
ここでは、「この席では問題があるかもしれない」という心配を打ち消しています。
「全然大丈夫」は間違った日本語?「全然+肯定」の歴史と現代の使い方
「全然大丈夫」を単純に「間違った日本語」とすることはできません。
「全然」は、日本語の歴史の中で最初から否定表現だけと組み合わされていたわけではなく、肯定表現と一緒に使われた例もあります。その後、「全然〜ない」という否定呼応の形が非常に典型的になり、学校教育でも「否定と一緒に使う副詞」として説明されることが多くなりました。
現代の日常会話では、「全然大丈夫」「全然いい」は非常によく使われます。ただし、こうした肯定用法は、単に「全然=とても」と置き換えているわけではありません。「問題があると思ったかもしれないが、実際にはまったく問題ない」といった、予想を打ち消す文脈で特に自然です。
自然な表現:
全然大丈夫です。
まったく問題ありません。
全然いいですよ。
まったく問題ないですよ。/それで大丈夫ですよ。
文脈によって自然:
思っていたより、全然おいしい。
思っていたより、ずっとおいしい。
初級学習ではそのまま公式化しないほうがよい例:
今日は全然楽しいです。
特に比較や予想外の背景がなく、単純に「今日はとても楽しい」と言いたいだけなら、「今日はとても楽しいです」のほうが安定しています。
日本語「とても〜ない」とは?普通の「とても」と何が違う?
「とても」には、中級の文章や会話でよく出てくる「とても+可能形否定/不可能表現」という使い方があります。
この場合の「とても」は単純な「非常に」ではなく、「今の条件では到底できない」「実現するのはほぼ無理だ」という判断を表します。
普通の高程度:
この問題はとても難しいです。
この問題は非常に難しいです。
強い不可能:
この問題は難しすぎて、とても解けません。
この問題は難しすぎて、到底解けません。
後者では、単に「解けない」の程度が高いのではなく、「実現するのはほぼ不可能だ」という意味になっています。
- 例文:この量は一人ではとても食べきれません。
読み方:このりょうはひとりではとてもたべきれません。
意味:この量は一人では到底食べきれません。
一人で全部食べることがほとんど不可能だという判断です。 - 例文:そんな高いバッグはとても買えません。
読み方:そんなたかいバッグはとてもかえません。
意味:そんな高いバッグはとても買えません。
単に買わないという意味ではなく、価格が高すぎて現実的に買えないという意味です。 - 例文:今の状況では、とても間に合いそうにありません。
読み方:いまのじょうきょうでは、とてもまにあいそうにありません。
意味:今の状況では、到底間に合いそうにありません。
「とても」が、実現が難しいという判断をさらに強くしています。
日本語「とても・あまり・全然」でレストランを評価するとどう変わる?
程度副詞は、評価の強さを大きく変えます。同じレストランについて話していても、「とてもおいしい」「あまりおいしくない」「全然おいしくない」では、単に副詞が違うだけではなく、話し手の評価そのものがかなり変わります。
この店はとてもおいしいです。
この店はとてもおいしいです。
この店はあまりおいしくありません。
この店はあまりおいしくありません。
この店は全然おいしくありません。
この店はまったくおいしくありません。
2番目の文にはまだ評価の余地がありますが、3番目は料理の味をかなり強く否定しています。そのため、店員や関係者本人に対して話す場合には、「あまり〜ない」のほうが「全然〜ない」より使いやすいことがあります。
一方、「全然おいしい」は別の方向の表現です。
思ったより全然おいしいです。
思っていたより、ずっとおいしいです。
この場合は、もともとの期待がそれほど高くなく、実際に食べてみると予想以上においしかったという背景があります。文脈を省略して「全然おいしい」と言うこともありますが、普通の「とてもおいしい」と完全に同じ意味ではありません。
日本語「とても・あまり・全然」の日常会話|レストラン・仕事・日常の返事
程度副詞は、実際の会話では「どの程度はっきり言うか」を調整する役割も持っています。
「とても」は程度をはっきり高く表し、「あまり〜ない」は否定的な評価を少し柔らかくし、「全然」は強い否定や、相手の心配を打ち消す返答でよく使われます。
場面①|レストランで料理の辛さについて話す
A:このカレー、辛いですか。
このカレー、からいですか。
このカレー、辛いですか。
B:少し辛いですが、とてもおいしいですよ。
すこしからいですが、とてもおいしいですよ。
少し辛いですが、とてもおいしいですよ。
📌 文法ポイント:「とても」は単純に「おいしい」の程度を高めています。予想外や控えめなニュアンスはありません。
場面②|辛い料理があまり得意ではないことを柔らかく伝える
A:辛いものは好きですか。
からいものはすきですか。
辛いものは好きですか。
B:実は、あまり得意ではありません。
じつは、あまりとくいではありません。
実は、あまり得意ではありません。
📌 文法ポイント:「あまり〜ない」によって、「嫌いです」と直接否定せず、苦手な程度が高くないことを柔らかく伝えています。
場面③|相手が迷惑をかけないか心配しているときに答える
A:少し遅れても大丈夫ですか。
すこしおくれてもだいじょうぶですか。
少し遅れても大丈夫ですか。
B:はい、全然大丈夫ですよ。
はい、ぜんぜんだいじょうぶですよ。
はい、全然大丈夫ですよ。
📌 文法ポイント:「全然大丈夫」は、「少し遅れると問題になるかもしれない」という相手の心配を否定しています。単純な「非常に大丈夫」ではなく、「本当に問題ない」という意味で理解すると自然です。
文化・表現上の補足:
- 「全然+肯定」は「若者言葉」として説明されることもありますが、「全然」が肯定表現と組み合わされる例は歴史的にも存在します。現代の「全然大丈夫」「全然いい」も広く使われています。ただし、正式な文章では文体に合わせて「まったく問題ありません」「問題ありません」などに言い換えられることがあります。
- 「あまり〜ない」は、否定的な評価を直接言い切らないために便利です。「この映画はあまり面白くなかった」は明らかに否定的な評価ですが、「全然面白くなかった」よりも強さが抑えられています。
- 「とても」そのものにプラス・マイナスの意味はありません。「とても好き」は強い好意、「とても嫌い」は強い嫌悪を表します。評価の方向を決めるのは、後ろに来る語です。
日本語「とても・あまり・全然」と韓国語「아주/매우・별로・전혀」はどう対応する?
日本語と韓国語には、程度を表す副詞と、否定表現と呼応する副詞があります。
日本語「とても」は韓国語「아주」「매우」、「あまり〜ない」は「별로〜지 않다」、「全然〜ない」は「전혀〜지 않다」と比較すると理解しやすくなります。
ただし、これらを一語ずつ完全に対応させることはできません。特に現代日本語の「全然大丈夫」には反対の予想を打ち消す用法があるため、「全然=전혀」と覚えて、すべての「全然+肯定」をそのまま韓国語に置き換えることはできません。
◆ 類似表現①:韓国語「아주/매우」
「아주」「매우」は、どちらも後ろの形容詞や状態の程度を高くする副詞で、日本語「とても」と近い働きをします。
「아주」は日常会話でもよく使われ、自然な高程度表現です。「매우」も同じく高い程度を表しますが、比較的正式な説明、書き言葉、客観的な表現などでもよく使われます。
どちらも肯定的な評価だけに使うわけではなく、「非常によい」「非常に難しい」「非常に高い」など、プラス・マイナスの両方に使えます。
- 例文:이 카페는 아주 조용해요.
ローマ字:i ka-pe-neun a-ju jo-yong-hae-yo.
意味:このカフェはとても静かです。
「아주」が「조용하다」の程度を高めています。日本語「とても静かです」と近い使い方です。 - 例文:오늘 날씨가 아주 좋아요.
ローマ字:o-neul nal-ssi-ga a-ju jo-a-yo.
意味:今日は天気がとてもいいです。
「아주」は「좋다」の程度を高めており、日本語「今日はとても天気がいいです」と同じ方向の表現です。 - 例文:이 문제는 매우 어렵습니다.
ローマ字:i mun-je-neun mae-u eo-ryeop-seum-ni-da.
意味:この問題は非常に難しいです。
「매우」が「어렵다」の程度を高めています。「-습니다」と一緒に使うと、比較的改まった説明にも合います。
◆ 類似表現②:韓国語「별로〜지 않다」
「별로」は否定表現と組み合わせて使うことが多く、程度、好み、頻度などがそれほど高くないことを表します。日本語「あまり〜ない」と非常に近い表現です。
完全に否定するわけではないため、「별로 좋아하지 않아요」は「あまり好きではありません」、「별로 어렵지 않아요」は「あまり難しくありません」という意味になります。
- 例文:매운 음식은 별로 좋아하지 않아요.
ローマ字:mae-un eum-sik-eun byeol-lo jo-a-ha-ji a-na-yo.
意味:辛い食べ物はあまり好きではありません。
「별로+否定」によって好みの程度を下げていますが、「싫어해요」のように完全に嫌いだとは言っていません。日本語「あまり好きではありません」と近いニュアンスです。 - 例文:이 영화는 별로 재미있지 않았어요.
ローマ字:i yeong-hwa-neun byeol-lo jae-mi-it-ji a-nat-sseo-yo.
意味:この映画はあまり面白くありませんでした。
否定的な評価ですが、「재미없었어요」と直接言い切るよりも少し余地があります。日本語「あまり面白くなかったです」とよく似ています。 - 例文:요즘은 텔레비전을 별로 보지 않아요.
ローマ字:yo-jeum-eun tel-le-bi-jeon-eul byeol-lo bo-ji a-na-yo.
意味:最近はあまりテレビを見ません。
「별로」は行為の頻度を下げることもでき、まったく見ないという意味ではありません。
◆ 類似表現③:韓国語「전혀〜지 않다」
「전혀」は否定表現と組み合わせると、ある状態、程度、行為などがほとんど存在しないことを表します。日本語「全然〜ない」と非常に近い表現です。
「별로〜지 않다」と比べると否定の程度が強く、日本語の「まったく〜ない」「少しも〜ない」に近くなります。
- 例文:그 소식은 전혀 몰랐어요.
ローマ字:geu so-sik-eun jeon-hyeo mol-lat-sseo-yo.
意味:そのニュースはまったく知りませんでした。
「전혀」と否定表現によって、知識の程度をほぼゼロまで下げています。日本語「その話は全然知りませんでした」と近い表現です。 - 例文:어제는 전혀 못 잤어요.
ローマ字:eo-je-neun jeon-hyeo mot jat-sseo-yo.
意味:昨日はまったく眠れませんでした。
「전혀 못 자다」は、ほとんど眠れなかったことを表します。「별로 못 잤어요」よりも強い否定で、日本語「昨日は全然眠れませんでした」と近い意味です。 - 例文:이 문제는 전혀 어렵지 않아요.
ローマ字:i mun-je-neun jeon-hyeo eo-ryeop-ji a-na-yo.
意味:この問題は全然難しくありません。
「전혀 어렵지 않다」によって「難しい」という程度を完全に否定しており、日本語「この問題は全然難しくないです」と非常に近い構造です。
◆ 日本語「とても・あまり・全然」と韓国語表現の基本的な違い
日本語「とても」と韓国語「아주/매우」は、どちらも程度を高める働きがあり、それ自体ではプラス・マイナスの評価を決めません。
「あまり〜ない」と「별로〜지 않다」は、程度や頻度を低くしながらも、ある程度の余地を残します。
「全然〜ない」と「전혀〜지 않다」は、否定の程度がより強く、「まったく〜ない」「少しも〜ない」という意味に近くなります。
最もそのまま対応させにくいのが、現代日本語の「全然大丈夫」「全然いい」です。
韓国語の「전혀」も、文全体に否定的な意味が含まれる一部の表現で使われることはありますが、日本語「全然」が「전혀」に対応するからといって、すべての「全然+肯定」を「전혀+肯定」の形へそのまま置き換えることはできません。それぞれの言語で自然な組み合わせを確認する必要があります。
「とても・あまり・全然」が混同されやすい理由は、単語そのものが難しいからではなく、翻訳すると程度の差が見えにくくなるからです。
「あまりおいしくない」と「全然おいしくない」は、どちらも否定的な評価ですが、前者にはまだ余地があり、後者はかなり強く否定しています。「とても高い」も、単に「高い」という程度を高めているだけで、肯定的な評価ではありません。
日常会話の「全然大丈夫」「全然いい」も、同じように文脈から理解できます。相手が「迷惑ではないか」「無理ではないか」と心配している場面で、「その心配はまったく必要ない」と答えるため、「全然」が自然に使われます。
また、「とても〜ない」が出てきたら、普通の高程度表現とは少し分けて考える必要があります。「とても信じられない」「とても買えない」のような文では、「非常に〜ない」というより「到底〜できない」という強い不可能を表しています。
よくある質問 FAQ
いいえ。「とても」は単に程度が高いことを表す副詞なので、それ自体にプラス・マイナスの評価はありません。「とてもおいしい」「とても便利」のような肯定的な表現にも、「とても高い」「とても難しい」「とても嫌い」のような否定的な評価にも使えます。
また、「とても+可能形否定」では「到底〜できない」という意味になることがあります。「とても信じられない」は「到底信じられない」という意味です。
初級日本語で「それほど〜ない」という意味を表す「あまり」は、基本的に否定と一緒に覚えるのが最も安定しています。「あまり食べない」「あまり高くない」などが代表例です。
ただし、「あまりに」は別の重要な表現で、「あまりにも」「過度に」という意味になります。「あまりに高い」「あまりに突然だった」などのように肯定形と組み合わせられます。「あまり〜ない」と「あまりに〜」は意味が大きく異なります。
単純に間違いとは言えません。現代の日常日本語では、「全然いい」「全然大丈夫」は広く使われています。また、歴史的にも「全然」が常に否定表現だけと組み合わされていたわけではありません。
ただし、現代の肯定用法では、否定的な予想や心配を打ち消すニュアンスがよくあります。例えば「これでも大丈夫ですか」と聞かれて「全然大丈夫です」と答える場合は、「まったく問題ありません」という意味です。
正式な文章で口語的な印象を避けたい場合は、「問題ありません」「まったく問題ありません」などに言い換えると安定します。
完全には同じではありません。
「とてもおいしい」は単純においしさの程度が高いことを表します。
「全然おいしい」は、「あまりおいしくないかもしれないと思っていたが、実際は十分おいしい」という反対の予想を打ち消す場面で使われやすい表現です。
そのため、特に比較や予想外の背景がなく、単純に料理を褒めたい場合は「とてもおいしい」のほうが安定しています。
「あまり分からない」は「それほどよく分からない」という意味で、一部は理解できている可能性があります。
「全然分からない」は「まったく分からない」という意味で、理解できる程度がほぼゼロです。
例えば、大まかな内容は分かるものの細かい部分を理解できない場合は「あまり分かりません」、最初から最後までほとんど理解できない場合は「全然分かりません」が自然です。