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日本語の「何の」「何を」「何が」は、中国語ではどれも簡単に「什麼」と訳せてしまいますが、日本語ではそれぞれ別の位置を尋ねています。「何の本ですか」で分からないのは「本」の前に入る説明、「何を読みますか」で分からないのは「読む」の対象、「何が必要ですか」では、どのものが「必要」という条件に当てはまるのかを聞いています。中国語訳では助詞の違いが見えなくなるため、すべてを一つの「什麼」として覚えるとかえって混乱しやすくなります。
判断しやすい方法は、まず元の普通文に戻してみることです。名詞が文の中に残っているなら「何の+名詞」かどうかを確認し、もともと動詞が「を」を取るなら未知の部分を「何を」に置き換えます。「好き」「欲しい」「必要」「分かる」のように「が」と結びつくことが多い表現なら、疑問詞も「何が」になります。この三つの本当の違いは、すべて「何」の後ろにある助詞に表れています。
日本語「何の」「何を」「何が」とは?違いは「何」の後ろの助詞
「何」は未知のものを尋ねる疑問詞で、文の構造を実際に決めているのは後ろの「の」「を」「が」です。「何の」は「何」を名詞修飾の位置に置き、「何を」は未知のものを動作の対象として置きます。「何が」は、未知の項目が「が」で示される成分であることを表します。
特に注意したいのは、「が」は主語を示すだけではないという点です。「好きだ」「欲しい」「必要だ」「分かる」「できる」「見える」などの表現にも「が」が現れます。これらを中国語に訳したときには主語らしく見えないこともあるため、「何が=何が主語か」とだけ覚えるのは不十分です。
| 形式 | 基本構造 | 主に何を尋ねる? | 例文 |
|---|---|---|---|
| 「何の」 | 何の+名詞 | 名詞の内容・種類・関係・用途 | 何の本ですか |
| 「何を」 | 何を+動詞 | 動作の対象・内容 | 何を読みますか |
| 「何が」 | 何が+述語 | 「が」で示される未知のもの | 何が必要ですか |
- 例文:これは何の本ですか。
かな:これはなんのほんですか。
意味:これはどんな内容・種類の本ですか。
「何の」が後ろの「本」を直接修飾しており、文脈によって本のテーマ・内容・種類などを尋ねます。 - 例文:週末に何をしますか。
かな:しゅうまつになにをしますか。
意味:週末は何をしますか。
「する」には行う内容が必要で、「何を」が本来目的語が入る位置に置かれています。 - 例文:旅行には何が必要ですか。
かな:りょこうにはなにがひつようですか。
意味:旅行には何が必要ですか。
日本語では「Nが必要だ」という形を使うため、必要なものが分からない場合も疑問詞を「が」の位置に置きます。
「何」の読み方はどう違う?「なん」と「なに」の使い分け
「何」は後ろに続く語によって読み方が変わります。「何の」は必ず「なんの」、「何を」は通常「なにを」、「何が」は「なにが」と読みます。実際のリスニングでも、この違いによって三つの形をかなり聞き分けやすくなります。
| 形式 | 読み方 | 例 |
|---|---|---|
| 何の | なんの | 何の本 |
| 何を | なにを | 何を食べる |
| 何が | なにが | 何が好き |
| 何で | なんで/なにで | 意味によって異なる |
| 何時 | なんじ | 何時 |
| 何人 | なんにん | 何人 |
「何を」の助詞「を」は現代日本語では通常「お」と発音されるため、実際には「なにお」に近く聞こえます。ただし、表記は必ず「何を」です。
- 例文:何の映画を見ましたか。
かな:なんのえいがをみましたか。
意味:何の映画を見ましたか。
「何の」は「なんの」と読み、後ろの「映画」はそのまま文に残っています。 - 例文:昨日、何を買いましたか。
かな:きのう、なにをかいましたか。
意味:昨日、何を買いましたか。
「何を」は「なにを」と読み、実際の発音では「を」が「お」に近くなります。 - 例文:この中で何が一番安いですか。
かな:このなかでなにがいちばんやすいですか。
意味:この中では何が一番安いですか。
「何が」は「なにが」と読み、どのものが「一番安い」という条件に当てはまるのかを尋ねています。
「何の」の使い方|後ろに名詞を残して、内容・種類・関係・目的を尋ねる
「何の」の基本構造は「何の+名詞」です。答えがどの名詞カテゴリーに属するかはすでに分かっているものの、その名詞の前にどのような説明が入るのかが分からない場合に使います。
そのため、「何の」は必ずしも「何種類の」という意味だけではありません。内容、出どころ、用途、関係などを尋ねることもでき、「何のため」のような固定表現にも使われます。実際の意味は、後ろの名詞と合わせて判断する必要があります。
「何の」の使い方①|名詞の種類・内容を尋ねる
後ろの名詞がすでに決まっているとき、「何の」はさらにその名詞がどの種類なのか、何に関係するものなのかを尋ねます。本、映画、料理、写真、音などでよく使われます。
- 例文:それは何の本ですか。
かな:それはなんのほんですか。
意味:それは何の本ですか。
文脈に応じて「日本史の本です」「料理の本です」のように、本のテーマや種類を答えられます。 - 例文:何の映画を見ていますか。
かな:なんのえいがをみていますか。
意味:何の映画を見ていますか。
「映画」というカテゴリーはすでに決まっており、「何の」によって具体的な作品やジャンルを尋ねています。 - 例文:これは何の料理ですか。
かな:これはなんのりょうりですか。
意味:これは何の料理ですか。
見慣れない料理について、料理名・種類・主な材料などを確認するときに使えます。
「何の」の使い方②|出どころ・内容・関係を尋ねる
「何の」は後ろの名詞と「AのB」という構造を作り、元のAが未知になった形と考えられます。そのため、「雨の音」「旅行の写真」「仕事の話」のような表現は、そのまま疑問文に変えられます。
- 例文:外から聞こえるのは何の音ですか。
かな:そとからきこえるのはなんのおとですか。
意味:外から聞こえてくるのは何の音ですか。
「工事の音です」「車の音です」のように答えられ、未知なのは音の出どころです。 - 例文:それは何の写真ですか。
かな:それはなんのしゃしんですか。
意味:それは何の写真ですか。
「旅行の写真です」「家族の写真です」のように、写真の内容や関係を説明できます。 - 例文:さっき何の話をしていたんですか。
かな:さっきなんのはなしをしていたんですか。
意味:さっき何の話をしていたんですか。
「仕事の話」「旅行の話」のように、元の「Aの話」のAが未知になっているため「何の話」を使います。
「何の」の使い方③|固定表現「何のために」で目的を尋ねる
「ため」は名詞なので、「何のため」も「何の+名詞」という構造です。「何のために」は「どんな目的で」という意味になり、行動の目的を尋ねるときによく使います。
- 例文:何のために日本語を勉強していますか。
かな:なんのためににほんごをべんきょうしていますか。
意味:何のために日本語を勉強していますか。
「何の」が名詞「ため」を修飾し、日本語を学ぶ目的を尋ねています。 - 例文:この書類は何のために必要ですか。
かな:このしょるいはなんのためにひつようですか。
意味:この書類は何のために必要ですか。
申請、行政、仕事などで書類の用途を確認するときに使えます。 - 例文:このボタンは何のためにあるんですか。
かな:このぼたんはなんのためにあるんですか。
意味:このボタンは何のためにあるんですか。
機器や設備の機能・用途を尋ねる場合にも使えます。
「何を」の使い方|食べる・見る・買う・するなど、動作の対象を尋ねる
「何を」は動詞を見ると判断しやすい形です。元の文型が「Nを+動詞」であれば、分からないNを「何」に置き換えて「何を+動詞」にします。
「食べる」「飲む」「買う」「読む」「見る」「作る」「聞く」「する」などの他動詞は、「を」と一緒に使われることが多い動詞です。こうした文で知りたいのは、「その動作が何に対して行われるのか」です。
「何を」の使い方①|食べる・買う・見るなどの対象を尋ねる
普通文を疑問文へ戻してみると、「何を」の位置が分かりやすくなります。
「パンを食べます」→「何を食べますか」
「本を読みます」→「何を読みますか」
- 例文:朝ごはんに何を食べましたか。
かな:あさごはんになにをたべましたか。
意味:朝ごはんに何を食べましたか。
「食べる」の対象が分からないので、本来食べ物が入る位置を「何を」に置き換えています。 - 例文:駅で何を買いましたか。
かな:えきでなにをかいましたか。
意味:駅で何を買いましたか。
「駅で」は購入場所を示し、「何を」は買ったものを尋ねています。 - 例文:今、何を読んでいますか。
かな:いま、なにをよんでいますか。
意味:今、何を読んでいますか。
答えるときは「小説を読んでいます」のように、元の目的語をそのまま入れられます。
「何を」の使い方②|何をするか、何をする予定かを尋ねる
「する」の前に置かれる内容も「を」で示されることが多いため、「何をしますか」は非常によく使う日常表現です。休日の予定、仕事内容、活動計画などを尋ねるときに使えます。
- 例文:週末は何をしますか。
かな:しゅうまつはなにをしますか。
意味:週末は何をしますか。
週末に行う活動が未知で、「買い物をします」「映画を見ます」のように答えられます。 - 例文:旅行中は何をしたいですか。
かな:りょこうちゅうはなにをしたいですか。
意味:旅行中は何をしたいですか。
「何をする」が「何をしたい」に変わり、旅行中にしたい活動を尋ねています。 - 例文:昨日の会議で何を話しましたか。
かな:きのうのかいぎでなにをはなしましたか。
意味:昨日の会議で何を話しましたか。
「何を」は話した内容を尋ねます。「誰が話しましたか」のように話した人物を尋ねる文とは構造が違います。
「何を」の使い方③|同じ文の中にほかの助詞があっても使える
文の中に「に」「で」「と」があるからといって、「何を」が使えなくなるわけではありません。それぞれの助詞が別の文成分を担当しています。
- 例文:店員さんに何を聞きましたか。
かな:てんいんさんになにをききましたか。
意味:店員さんに何を聞きましたか。
「店員さんに」は質問した相手、「何を」は質問内容を示しています。 - 例文:友達と何を話しましたか。
かな:ともだちとなにをはなしましたか。
意味:友達と何を話しましたか。
「友達と」は一緒に会話した相手、「何を」は会話の内容です。 - 例文:この材料で何を作りますか。
かな:このざいりょうでなにをつくりますか。
意味:この材料で何を作りますか。
「で」は使用する材料、「何を」は最終的に作るものを尋ねています。
「何が」の使い方|なぜ「好き」「必要」「できる」も「が」を使う?
「何が」を単純に「何+主語助詞が」とだけ理解すると、「何が落ちましたか」「何がありますか」のような文は説明できますが、「何が好きですか」「何が欲しいですか」になると中国語との対応が分かりにくくなります。
より安定した判断方法は、元の文型でどの助詞が使われているかを見ることです。基本形が「Nが好きだ」「Nが必要だ」「Nが見える」なら、未知のNを「何」に置き換えると自然に「何が」になります。
「何が」の使い方①|どのものがある状態にあるのか尋ねる
「ある」「必要だ」「人気だ」「一番安い」などでは、「が」によって話題となるものを示します。そのため、疑問詞も「が」と一緒に使います。
- 例文:教室に何がありますか。
かな:きょうしつになにがありますか。
意味:教室には何がありますか。
基本文は「机があります」のような形で、「机」を未知の項目に変えると「何がありますか」になります。 - 例文:旅行には何が必要ですか。
かな:りょこうにはなにがひつようですか。
意味:旅行には何が必要ですか。
基本文は「パスポートが必要です」なので、疑問文でも「が」を残します。 - 例文:この店では何が人気ですか。
かな:このみせではなにがにんきですか。
意味:この店では何が人気ですか。
「この店では」で範囲を限定し、「何が」でその中のどの商品・料理が人気なのかを尋ねています。
「何が」の使い方②|「好き」「欲しい」などの対象にも「が」がよく使われる
中国語では「咖啡が好き」「新しいスマホが欲しい」のような内容は、動詞の目的語のように感じられるかもしれません。しかし、日本語の「好きだ」はな形容詞、「欲しい」はい形容詞で、基本形は「Nが好きだ」「Nが欲しい」です。
そのため、「何が好きですか」が基本で、「何を好きですか」にはなりません。
- 例文:日本料理では何が好きですか。
かな:にほんりょうりではなにがすきですか。
意味:日本料理では何が好きですか。
「好き」の対象には「が」を使うため、疑問詞も「何が」になります。 - 例文:誕生日に何が欲しいですか。
かな:たんじょうびになにがほしいですか。
意味:誕生日に何が欲しいですか。
基本文は「新しい靴が欲しいです」なので、疑問文も「何が欲しいですか」です。 - 例文:この中では何が一番好きですか。
かな:このなかではなにがいちばんすきですか。
意味:この中では何が一番好きですか。
「この中では」で範囲が限定され、どの項目が「一番好き」なのかを「何が」で尋ねています。
「何が」の使い方③|「見える」「分かる」「できる」も「が」を使うことが多い
「見える」は自然に視界へ入ること、「分かる」は理解できること、「できる」は能力・可能を表すことがあります。これらの動詞・表現では、見えるもの、分かる内容、できることを「が」で示すことがよくあります。
- 例文:窓から何が見えますか。
かな:まどからなにがみえますか。
意味:窓から何が見えますか。
「見る」は意図的に見る動作ですが、「見える」はものが自然に視界に入ることを表すため、「何が見えますか」となります。 - 例文:この説明を読んで、何が分かりましたか。
かな:このせつめいをよんで、なにがわかりましたか。
意味:この説明を読んで、何が分かりましたか。
「何が」は、理解できた内容を尋ねています。 - 例文:このアプリでは何ができますか。
かな:このあぷりではなにができますか。
意味:このアプリでは何ができますか。
「何ができる」によって、どのような機能・操作が可能なのかを尋ねられ、製品・サービス紹介でもよく使われます。
日本語「何の」「何を」「何が」の違い|同じテーマでも助詞が変われば質問の焦点も変わる
三つの形は、同じテーマに入れて比較すると分かりやすくなります。「本」を例にすると、「何の本ですか」は「本」という名詞を残したまま、内容や種類を尋ねます。「何を読みますか」は読む対象そのものを尋ね、「何が面白いですか」はどのものが「面白い」という状態に当てはまるのかを尋ねます。
| 質問 | 本当に知りたいこと | 回答例 |
|---|---|---|
| 何の本ですか | 本の内容・種類 | 日本史の本です |
| 何を読みますか | 読む対象 | 日本史の本を読みます |
| 何が面白いですか | 何が面白いのか | この本が面白いです |
▌「何の」と「何を」の違い|後ろに名詞が残っているか
「何の」の後ろには必ず修飾される名詞があります。「何を」は直接、動詞の目的語の位置に入ります。二つの質問で似た答えが返ってくる場合もありますが、質問の範囲は異なります。
❌ 不自然:何を映画を見ますか。
✅ 正しい:何の映画を見ますか。
✅ 正しい:何を見ますか。
「何の映画を見ますか」は、答えが映画であることはすでに決まっており、どの作品・ジャンルなのかを尋ねています。「何を見ますか」では答えの範囲が限定されていないため、映画、テレビ、展示、試合なども答えになれます。
▌「何を」と「何が」の違い|まず元の文型がどの助詞を使うかを見る
中国語の「什麼」には日本語の助詞が表れないため、そのまま訳そうとすると間違いやすくなります。より安定した方法は、元の普通文へ戻すことです。
「寿司を食べます」→「何を食べますか」
「寿司が好きです」→「何が好きですか」
「寿司が人気です」→「何が人気ですか」
❌ 不自然:何を好きですか。
✅ 正しい:何が好きですか。
「好き」は「何かを好きする」という一般的な他動詞構造ではなく、基本形が「Nが好きだ」なので、中国語の「喜歡什麼」から直接「を」を当てることはできません。
▌「何の」と「何が」は同じ文の中にも一緒に出てくる
「の」と「が」は別々の役割を担当するため、一つの名詞句の中に同時に現れても問題ありません。
- 例文:何の料理が人気ですか。
かな:なんのりょうりがにんきですか。
意味:何の料理が人気ですか。
「何の」がまず「料理」を修飾し、その「何の料理」全体が「人気だ」に対して「が」で示されています。 - 例文:何の音が聞こえますか。
かな:なんのおとがきこえますか。
意味:何の音が聞こえますか。
「何の」は音の出どころ・内容を尋ね、「音が」は「聞こえる」に対する「が」の成分です。 - 例文:何の機能が必要ですか。
かな:なんのきのうがひつようですか。
意味:何の機能が必要ですか。
「何の機能」で機能の種類を尋ね、その名詞句全体が「が必要だ」に接続しています。
「何が食べたい」と「何を食べたい」はどちらが正しい?
「何が食べたいですか」と「何を食べたいですか」は、どちらも使えます。片方を単純に間違いとすることはできません。
「〜たい」は動詞から作られるため、元の動詞が取る「を」を残して「ラーメンを食べたい」と言えます。一方、希望する対象を「が」で示すことも多く、「ラーメンが食べたい」も自然です。実際の会話では、どちらの形も使われます。
国際交流基金の教材には「何が食べたいですか」という例がありますが、ほかの日本語教材や実際の会話では「何を食べたいですか」もよく見られます。
| 表現 | 自然さ | おおよそのニュアンス |
|---|---|---|
| 何が食べたいですか | ✅ | 食べたいもの自体に焦点が向きやすい |
| 何を食べたいですか | ✅ | 「食べる+を」という動詞構造を残す |
| 何食べたい? | ✅ 会話 | 助詞を省略。友達同士で非常によく使う |
- 例文:今日は何が食べたいですか。
かな:きょうはなにがたべたいですか。
意味:今日は何が食べたいですか。
「が」によって食べたいものに焦点が当たり、教材でも一般会話でもよく使われます。 - 例文:旅行先で何を食べたいですか。
かな:りょこうさきでなにをたべたいですか。
意味:旅行先で何を食べたいですか。
「を」が「食べる」の元の目的語関係を残しており、こちらも自然です。 - 例文:晩ご飯、何食べたい?
かな:ばんごはん、なにたべたい。
意味:晩ご飯、何食べたい?
日常会話では助詞がそのまま省略されることも多く、必ずしも「何が」「何を」を完全な形で言うとは限りません。
同じ考え方をそのまま「好き」に当てはめることはできません。
❌ 何を好きですか。
✅ 何が好きですか。
「好き」は「食べる」のような他動詞ではないため、「〜たい」で見られる「を/が」の両方が可能という事情を使って説明することはできません。
「何の」と「どんな」は何が違う?どちらも「どんな・何の」と訳せるが質問が違う
「何の+名詞」は、その名詞が何の内容・種類・用途・対象に関係するのかを確認することが中心です。「どんな+名詞」は、性質・特徴・様子を尋ねる傾向があります。
例えば「何の本ですか」なら、料理本、旅行本、歴史本などを答えられます。「どんな本ですか」なら、「読みやすい本です」「写真が多い本です」のような特徴を答えやすくなります。
| 表現 | 主な焦点 | 回答例 |
|---|---|---|
| 何の本ですか | テーマ・内容・種類 | 料理の本です |
| どんな本ですか | 性質・特徴 | 写真が多い本です |
| 何の映画ですか | 作品・題材・ジャンル | ホラー映画です |
| どんな映画ですか | 作品の特徴 | 少し怖い映画です |
▌好きな漫画の種類を聞くなら「どんな」のほうが自然なことが多い
△ 何のマンガが好きですか。
✅ どんなマンガが好きですか。
好きな漫画のジャンル・題材・雰囲気を広く尋ねるなら、「どんなマンガが好きですか」のほうが通常自然です。「何のマンガ」だと、具体的な作品・シリーズ・明確なカテゴリーを答えることが期待されやすくなります。
▌会社の種類を尋ねる場合も「どんな会社」がよく使われる
△ 何の会社で働いていますか。
✅ どんな会社で働いていますか。
どんな業界・事業内容の会社で働いているのかを尋ねるなら、「どんな会社で働いていますか」のほうが自然です。「機械を作る会社です」「旅行会社です」などと答えられます。
▌好きな色を尋ねるときは「何の色」と言わない
❌ 何の色が好きですか。
✅ 何色が好きですか。
日本語では「何色(なにいろ)」という複合疑問詞を使うため、「何色が好きですか」と言います。中国語に「什麼顏色」とあるからといって、すべて「何の+名詞」にするわけではありません。
- 例文:何色が好きですか。
かな:なにいろがすきですか。
意味:何色が好きですか。
「何色」自体が「どの色・何色」という意味を持ち、後ろの「が」が「好き」に接続します。
日本語「何の」「何を」「何が」のよくある間違い|中国語訳より元の普通文に戻す
この三つを間違えやすい最大の理由は、中国語ではすべて「什麼」と訳せることです。日本語ではまず、名詞修飾なのか、目的語なのか、「が」で示される成分なのかを決めてから疑問詞を置きます。
▌間違い①:「何が本ですか」
❌ 何が本ですか。
✅ 何の本ですか。
尋ねたいのは「本」の前に入る内容・種類なので、名詞を修飾できる「何の」が必要です。
▌間違い②:「何を好きですか」
❌ 何を好きですか。
✅ 何が好きですか。
「好き」の基本形は「Nが好きだ」です。好きなものが分からない場合、そのNを「何」に変えるだけです。
▌間違い③:「何をありますか」
❌ 何をありますか。
✅ 何がありますか。
「ある」では、存在しているものを「が」で示します。「机があります」を疑問文にすると「何がありますか」になります。
▌間違い④:「何料理」と聞きたいから必ず「何を」を使う
❌ 何を料理が好きですか。
✅ 何の料理が好きですか。
✅ どんな料理が好きですか。
「料理」という名詞を文に残すなら、まず「何の」または「どんな」で修飾します。その「何の料理/どんな料理」全体が「が好きですか」に接続します。
▌間違い⑤:すべての「何が」を中国語の主語として解釈する
「何が落ちましたか」は確かに「何が落ちたのか」を尋ねる文ですが、「何が好きですか」を無理に「何が主語なのか」と考えるとかえって分かりにくくなります。
「好き」「欲しい」「必要」「分かる」「できる」「見える」などでは、元の助詞との組み合わせをそのまま覚えるほうが実用的です。
日本旅行・日常会話で使う「何の」「何を」「何が」
レストラン、店、ホテル、友達との会話などでは「何」を非常によく使います。実際の会話で毎回主語・目的語を分析するわけではありませんが、質問の構造自体は同じ規則に従っています。後ろにどの語が残っているかを見ると、助詞も判断しやすくなります。
▌場面①|レストランで料理について聞いて注文する
A:これは何の料理ですか。
かな:これはなんのりょうりですか。
これは何の料理ですか。
B:鶏肉を使った料理です。何を注文しますか。
かな:とりにくをつかったりょうりです。なにをちゅうもんしますか。
鶏肉を使った料理です。何を注文しますか。
📌 文法ポイント:「何の料理」は目の前の料理が何の内容・種類なのかを尋ねます。「何を注文する」は注文という動作の対象を直接尋ねています。
▌場面②|店で人気商品を尋ねる
A:この店では何が一番人気ですか。
かな:このみせではなにがいちばんにんきですか。
この店では何が一番人気ですか。
B:このバッグが人気です。何色がいいですか。
かな:このばっぐがにんきです。なにいろがいいですか。
このバッグが人気です。何色がいいですか。
📌 文法ポイント:「何が人気」で、どの商品が「人気」という状態に当てはまるかを尋ねます。色の場合は「何の色」ではなく、固定表現の「何色」を使います。
▌場面③|友達との会話で趣味を聞く
A:休みの日は何をしていますか。
かな:やすみのひはなにをしていますか。
休みの日は何をしていますか。
B:映画を見ています。日本映画では何が好きですか。
かな:えいがをみています。にほんえいがではなにがすきですか。
映画を見ています。日本映画では何が好きですか。
📌 文法ポイント:「何をしていますか」は行っている活動を尋ねます。「何が好きですか」は「Nが好きだ」という構造を使って、好きな対象を尋ねています。
文化・文法知識の補足:
- 日常会話では助詞がよく省略されるため、「何食べる?」「何買った?」「何好き?」のような形もよく聞きます。助詞を省略したからといって文法規則がなくなったわけではなく、文脈から十分に分かるため省略されているだけです。正式な文章や文型を学び始めた段階では、助詞を残したほうが構造を理解しやすくなります。
- 「何が好きですか」と「どんな〜が好きですか」は質問範囲が異なります。「何が好きですか」は好きなものを広く尋ねますが、「どんな映画が好きですか」のような「どんな+名詞」は、まず名詞カテゴリーを限定し、その中でどの特徴・種類が好みかを尋ねます。
- 「何の」がすべての「何+名詞」に使われるわけではありません。色は「何色」、時刻は「何時」、人数は「何人」のように、すでに一つの疑問詞として定着している形があります。その場合は「の」を加えません。
日本語「何の/何を/何が」と韓国語「무슨/무엇을/무엇이」はどう対応する?
日本語の「何」は、文中での役割によって「の」「を」「が」などの助詞と組み合わされます。「何の+名詞」は名詞の種類や内容を尋ね、「何を+動詞」は動作の対象を尋ねます。「何が」は主語、必要なもの、ある状態に当てはまるものなどを尋ねるときに使われます。
韓国語でも文の構造によって異なる形を使います。「무슨」は名詞の前に直接置かれ、日本語の「何の+名詞」に近い働きをします。「무엇을/뭘」と「무엇이/뭐가」は、それぞれ助詞「을/를」と「이/가」によって文中での機能が示されます。ただし、二つの言語では品詞や助詞の規則が完全には一致しないため、中国語訳だけを見てどの形を使うか決めることはできません。
◆ 類似表現①:韓国語「무슨+名詞」
韓国語の「무슨」は名詞の前に直接置き、事物の種類・性質・具体的な内容を尋ねる表現で、日本語の「何の+名詞」と重なる部分が多くあります。ただし、日本語の「何の」は疑問詞「何」と助詞「の」の組み合わせですが、韓国語の「무슨」はそのまま名詞を修飾するため、名詞との間に別の助詞は必要ありません。
- 例文:무슨 책이에요?
ローマ字:mu-seun chae-gi-e-yo?
日本語:何の本ですか。
日本語の「何の本ですか」に対応します。韓国語では「무슨」を「책」の前にそのまま置き、日本語では「何の」が「本」を修飾します。 - 例文:무슨 영화를 보고 싶어요?
ローマ字:mu-seun yeong-hwa-reul bo-go si-peo-yo?
日本語:何の映画が見たいですか。
日本語の「何の映画が見たいですか」に対応し、どちらも見たい映画の種類や作品を尋ねています。 - 例文:이건 무슨 소리예요?
ローマ字:i-geon mu-seun so-ri-ye-yo?
日本語:これは何の音ですか。
日本語の「これは何の音ですか」に対応します。音が何をしたかではなく、音の出どころ・種類を尋ねています。
◆ 類似表現②:韓国語「무엇을/뭘+動詞」
「무엇을」は疑問詞「무엇」と目的格助詞「을」から成り、会話では通常「뭘」に縮約されます。「何」が食べる・買う・する・見るなどの動作の対象になる場合、日本語の「何を+動詞」とよく対応します。
- 例文:점심으로 뭘 먹어요?
ローマ字:jeom-si-meu-ro mwol meo-geo-yo?
日本語:お昼に何を食べますか。
日本語の「お昼に何を食べますか」に対応します。韓国語の「뭘」と日本語の「何を」は、どちらも「食べる」の目的語の位置にあります。 - 例文:지금 무엇을 하고 있어요?
ローマ字:ji-geum mu-eo-seul ha-go i-sseo-yo?
日本語:今、何をしていますか。
日本語の「今、何をしていますか」に対応します。完全形の「무엇을」は口語の「뭘」よりやや改まっていますが、文中での役割は同じです。 - 例文:주말에 뭘 살 거예요?
ローマ字:ju-ma-re mwol sal geo-ye-yo?
日本語:週末に何を買いますか。
日本語の「週末に何を買いますか」に対応し、両言語とも目的語を示す助詞によって、買う対象を示しています。
◆ 類似表現③:韓国語「무엇이/뭐가+状態・述語」
「무엇이」は「무엇」と主格助詞「이」から成り、会話では「뭐가」と縮約されることが多い表現です。何が必要なのか、何が重要なのか、何がある状態にあるのかを尋ねる場合、日本語の「何が」と比較しやすくなります。
- 例文:여행에는 뭐가 필요해요?
ローマ字:yeo-haeng-e-neun mwo-ga pi-ryo-hae-yo?
日本語:旅行には何が必要ですか。
日本語の「旅行には何が必要ですか」に対応します。日本語・韓国語とも主格助詞を使い、「必要」と判断される項目を示しています。 - 例文:무엇이 가장 중요해요?
ローマ字:mu-eo-si ga-jang jung-yo-hae-yo?
日本語:何が一番重要ですか。
日本語の「何がいちばん大切ですか」に対応します。完全形「무엇이」は改まった質問や書き言葉で見られやすく、日常会話では「뭐가 가장 중요해요?」が一般的です。 - 例文:뭐가 문제예요?
ローマ字:mwo-ga mun-je-ye-yo?
日本語:何が問題ですか。
日本語の「何が問題ですか」に対応し、どちらも主格助詞を使って、問題となっているもの・原因を尋ねています。
◆ 日本語と韓国語の疑問詞+助詞の中心的な違い:
日本語の「何の」「何を」「何が」は、すべて疑問詞「何」に異なる助詞を組み合わせた形です。韓国語では、名詞を直接修飾する「무슨」と、「무엇/뭐」に「을/를」「이/가」をつけた「무엇을/뭘」「무엇이/뭐가」に分かれます。「何を」と「무엇을/뭘」、「何が」と「무엇이/뭐가」は多くの文で直接比較できますが、「好きだ/좋아하다」のように日本語と韓国語で品詞・述語構造が異なる表現では、使う助詞も一致しません。助詞を選ぶときは、日本語・韓国語それぞれの述語構造を確認する必要があり、中国語の「什麼」だけを基準に一語ずつ置き換えることはできません。
「何の」「何を」「何が」の違いは、最終的にはそれぞれの助詞が文の中で何を担当しているかに戻ります。「何の」は名詞の前に置いて内容を補い、「何を」は「Nを+動詞」のNの位置に入り、「何が」は元から「が」を使う述語に合わせて使われます。「何が好きですか」で迷ったら、「コーヒーが好きです」という普通文から逆に考えるほうが、「が」を中国語の主語として無理に訳すより判断しやすくなります。
少し注意が必要なのは「〜たい」です。「何が食べたいですか」と「何を食べたいですか」はどちらも使えるため、ここでは片方だけを正解、もう片方を間違いとすることはできません。まず元の動詞がどの助詞を取るかを確認し、そのうえで文がどこに焦点を置いているのかを見ると、ほかの疑問文でも「の」「を」「が」をすべて同じ「何」として混同しにくくなります。
よくある質問 FAQ
まず「何」が文のどこに入っているかを確認します。「何の」は後ろに名詞を置き、その名詞の内容・種類・関係を尋ねます。「何を」は主に他動詞と一緒に使い、動作の対象を尋ねます。「何が」は、元の文で「が」によって示される位置に入ります。中国語の「什麼」へ直接訳すより、普通文へ戻して考えるほうが正確です。
日本語の「好きだ」は一般的な他動詞ではなく、基本文型が「Nが好きだ」だからです。例えば「音楽が好きです」を疑問文にすると、分からない「音楽」を「何」に置き換えて「何が好きですか」となります。「何を好きですか」は標準的な基本表現ではありません。
どちらも使えます。「〜たい」で元の動詞の目的語を残すなら「何を食べたいですか」と言えますし、食べたいものを希望の対象として「が」で示す「何が食べたいですか」も自然です。日常会話ではさらに助詞を省略して「何食べたい?」と言うこともよくあります。
「何の」は名詞が何の内容・種類・用途・対象に関係するのかを尋ねることが多く、「どんな」は性質や特徴を尋ねる傾向があります。「何の本ですか」なら「料理の本です」、「どんな本ですか」なら「写真が多い本です」のように答えられます。
日本語には「何色(なにいろ)」という決まった疑問詞があるため、「何色が好きですか」と言います。同じように、時刻は「何時(なんじ)」、人数は「何人(なんにん)」を使います。中国語で「什麼+名詞」の形になっていても、すべて日本語で「何の+名詞」になるわけではありません。